何度もテレビ画面の中で見た光景だと私は思った。そして私も手を合わせながらその横を通り
「グランド0」への列に並ぼうとボードウォークの入り口に向かった。
立ち見台へは、一定時間毎に15人〜20人を入れ替わりに入場させるというシステムがとられていた。
(まるで遊園地の乗り物の順番を待つかのように)
その時ふと、入場するためにはピンク色のチケットが必要なことに気がついた。
驚いて入場口の係員に尋ねると、ここからまっすぐ7ブロック先のシーポートという所まで歩いて行って、
チケットを貰って来いと言われた。7ブロック?距離にして1.5キロ弱ぐらいだったと記憶している。
その時は、どうしてわざわざそんな所までチケットを取りにいかなければならないのか
まったくその理由が分からなかった。
入場整理券ならここで出してくれればいいじゃない(しかもそのチケットは無料なのに!)。
そうしてシーポートがどんな場所なのかも分からないまま、不安な気持ちで、ひたすら街を歩き続けた。
夕方だったので、仕事途中の人々や既に帰る人々などさまざまな人々が街に溢れていた。
途中途中で何軒かまだクローズしたままのお店が目に入ってはきたものの、
ダウンタウンの活気はものすごいものだと思った。そうこうする内に到着したシーポートは、
「サウス・ストリート・シーポート」というお洒落なショップが立ち並ぶ新しいショッピングエリアだった。
その一角の「Tickets to WTC viewing platform」と表示されたチケットブーズで、
ピンク色のチケットと一緒に“january 2002”と印刷されたダウンタウンマップを手渡された時、
はっきり分かった。
そうだ、これは、私たち来訪者にこの街をこうして歩いて見て欲しいということなのだと。
このショッピングエリアも、こんなに素敵で明るくて、いいでしょと。
途中のストリートのショップや人々もこんなに生き生きとしているでしょ、
それらを歩いて実感してほしいというメッセージだったのだ。