ものごとを考える。いつもと違ったことを考える。
視点を変える。換える。替える。
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誰もが案外同じものを眼にしているとする。 |
しかし、そこから考えだすことが他人と異なるとしたら、
それは、なぜだろうか。
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経験という名の時間の積み上げや、問題の濾過の結果なのだろうか。
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そう、そういう眼球の「視力が鋭くなっている」のだと思う。
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が、これはむしろ、視゛力゛というよりも、視゛角度゛ではないだろうか。
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いわゆる「視点」の違いというやつ。
みじかな例を挙げてみる。
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劇画のダイナミックな構成を思い浮かべて下さい。 |
あなたが 「ゴルゴ」世代ならば、もう御解りでしょう。
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それは、鳥の眼、人の眼、犬の眼、虫の眼と言われるものです。
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あたかもクレーンに載せたカメラのズームレンズのように、
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縦横に動き回って描く目線の高さの変化です。
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長野オリンピックの時に、大滑降のスキーヤーを追っかけて、 ラインを移動したあの空中カメラ。 |
スケーターをドッグレース中継のように追尾したあのリニアモーターカーのようなカメラ。 |
今までに目にしたこともない視点の高さがあったはず。 |
車を買いたいと思うとき、貴方は、外観のシェープに左右されますか。 |
フロントグリルに目を奪われますか。 |
あのライトをいかににデザインするかによって、確かに新車の顔つきは大きく変わってもきますし、 |
どこかの車にも似ていってしまう。 |
上がり目、下がり目、猫の目、豹の目、象の目。 |
しかし、私は、外観をさほど気にしない。 |
車を買わせたいというデザインが、正面であったり、 真横であったりするのは、 |
これまでのデザイナーの多くが意を注いだものだった。 |
私は、シートと、ドライバーズ・ビューを一番気にする。速い車よりも疲れない車を選ぶ。
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さほどに長距離、500キロも運転することはないものの、 |
東京・名古屋間は、ノンストップで走ることが多かった。 |
腰が疲れにくいこと。目が疲れにくいこと。シフトダウンが決まりやすいこと。 |
(昔のいすずべレットや初期のカローラは、あのカチカチという音が心地よかった。) |
左フェンダー・コーナーがわかりやすいこと。交通情報が聞きやすい、静音であること。 |
(これだけは、高速巡航速度を出せない、試乗会ではわからないから困る。) |
つまり、長い時間、自分が所有するポジションでの快適感を最大に重視する。
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イニシャルコストもランニングコストも同じなら、「五感」が車の車種を決める。 |
いい換えれば、人間工学であり、人間生理学でもある。
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走るのが車。しかし、走らないと判らないアドバンテージを、なぜ、紙や短いCMで、
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いや、買わせようと待ちかまえているデイラーズショップで決めていけるのだろうか。
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レストランで、「これ、美味い?」って聞いて、 |
ウエイターに「みんな美味いですよ」と答えられるようなもの。 |
命を委ねることになる点では同じかも知れないが、医師と患者との信頼関係とはこれまた少し違う。 |
運転者自身が被害者でもあり、加害者にもなる。 |
ドライビングポジションから車を見れば、常に目にする車のデザインは、リアデザインだ。 |
「日本の車って、尻のきれいなのが、なかなか無いぜ」。車好きなもう一人の友人が、吐いて捨てた。
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「また、目玉の切れ込みがどこも似てきたぜ」。もう一人の友人が苦笑いした。 |
貴方が、買いたくなる車のデザインは、どこにありますか。 |
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